
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と戦う日々が続いています。個人としてはひたすら専守防衛に励むしかない状況です。
とはいえ、完全に家に閉じこもって過ごせるわけではなく、最小限の外出も必要です。ただ、エレベータに乗るたびに、不特定多数の人が触ったボタンを押すのはためらいがちになります。
いろいろな感染対策グッズがでているみたいですが、比較的高価なのとすぐ売り切れて手に入りづらいようです。
ということで、間接タッチできるグッズをつくってみました。抗菌素材などをわざわざ購入するのはもったいないので、手元にある材料を物色して使えそうなものを見つけました。

銅線用裸圧着端子(R型)という電気部品で、無酸素銅(99.96%以上の高純度銅)に錫メッキを施したものです。サイズによってコストは異なりますが、1個あたり数十円で入手できると思います。(市販の感染対策グッズでも、ここまで高純度の銅素材をつかったものはないと思います。抗菌効果は金属のイオン化傾向の序列に従って、還元されやすい金属イオン [銅はCu2+、銀はAg+] ほど大きな抗菌効果を持つようです。)
単に、この部品の錫メッキ部分をヤスリで丁寧に剥がし、純銅の素材を露出するようにして、携帯ストラップに装着しただけです。
抗菌性が高い金属として知られている銅素材ですし、とてもコンパクトなので、あまり目立たずに使えます。これでエレベーター、ATM、自販機等のボタンを押す時に直接触れないで済みそうです。

さらに、富士フィルム「Hydro AG+ スプレー(アルコール濃度80%)」という抗菌スプレーを塗布しておきました。これは銀イオン系抗菌剤を超親水ポリマーでコーティングするもので、除菌効果が長期間にわたって持続するとのことです。
病院の院内感染予防や介護の現場向けに開発された製品で、新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)に対する除菌効果ついての検証レポートはまだないようです。ただ、インフルエンザウィルスに対しては非常に効果があるとのことなので、同じエンベロープウイルスである新型コロナウィルスにも適用できそうです。

ちなみに、純銅素材を選ぶにあたって、アメリカの研究チームによる新型コロナウイルスの残存についての査読論文をすこし参考にしました。
N. van Doremalen, et al. (2020)
Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1.これによれば、SARS-CoV、MERS-CoV、一般的な風邪の流行原因となるヒトコロナウイルス(HCoV)などのコロナウイルスは、金属、ガラス、プラスチック、段ボールなどの無生物の表面で最大9日間も生存できるとのこと。
プラスチックやステンレス鋼では3日間、一般に抗菌性があるとされている銅では4時間で不活性化します。しかし、アルコール消毒による1分以内の不活性化とは大きな差異があり、金属素材自体での抗菌効果は気休め程度と考えたほうがよさそうです。やはり日常的な手洗いやアルコール消毒などは必須ですね!
<参考:SARS-CoV-2ウィルスの減衰時間>
・エアロゾル 3時間で 12.5% に減少
・段ボール 24時間 1/1,000 に減少
・プラスチック 72時間 1/1,000 に減少
・ステンレス鋼 48時間 1/1,000 に減少
・銅 4時間 1/200〜1/300 に減少
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追記(4/29)
新型コロナウイルス感染症の正式名称が「COVID-19」、そのウィルスの正式名称が「SARS-CoV-2」です。
国際ウイルス分類委員会(ICTV)により、SARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こすウイルス「SARS-CoV」の姉妹種であるとして、「SARS-CoV-2」と名付けられています。このウィルスの正式名称をみて、その危険度を再認識する必要がありますね。
追記(6/17)
家族や友人からの評判がよかったので、ひとまわり大きなものを製作してみました。かなり掴みやすくなりました。
posted by toons at 13:20|
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日記