2022年09月30日

MarkAudio OM-MF4-MICA スピーカー製作&試聴 (4)

04.密閉(2).JPG

まずは下部キャビと合わせた時の250Hzピークを調整します。といってもダクト途中に吸音材を少し入れるだけです。

手元にちゃんとした吸音材がなかったので、水槽の上部フィルタ(ウールマット)で代用。素材はおそらくポリプロピレン、厚みは8mmです。入れる箇所は最初の折り返し部分に適当なサイズにハサミで切りダクト入り口から落とし込み定規で押し込むだけです。

特性の比較だけになります。"Audio Frequency Analyzer"での測定結果はつぎのとおり(吸音材なし=上グラフ、吸音材あり=下グラフ)。

01.吸音材.PNG

やはり吸音材を入れたほうは250Hzが2dB程度下がっています。吸音材の量を増やせばもっと低下するはず。
しかし、音道を塞いでしまう恐れがあるのでこの1枚だけにしておきます。

ようやく試聴に取り掛かります。

いつもは手持ちの中から気が向いたCDを鳴らしながら試聴するのですが、各方式の違いでどう変わるのかを聞き取らないといけません。

ステレオ誌2011年1月付録のサンプルCDを使わせていただきました。大井川鉄道の蒸気機関車の生録音を再生チェックによく利用しています。

今回は、特に低域方向の違いを聞きたいので、この中からクラシックとジャズを選びました。

12. サン=サーンス 交響曲第3番「オルガン付き」
13. コールマン バード・フード/トライソニーク

左右間隔は約1m、約2m離れ試聴。密閉、両バスレフは TAOCスタンドにて、音響迷路のみ下部キャビに載せて行ってます。

02.試聴(1).JPG

02.試聴(2).JPG

密閉方式はデスクトップで使うことを想定して板でダクトを塞ぐ形に、バスレフ(上向)はダクトが空くよう板をずらしています。

それぞれの方式の感じとしては、、、

・密閉:
03.密閉.JPG

ティンパニーの打音軽く、オルガンの音階下がる部分が聞き取りづらい。ベースの音程は聞き取れるも、弦が指板に当たるカツン音の方が大きく感じられる。

・バスレフ(上向):
03.バスレフ(下).JPG

ティンパニーの打音はそれなりに聴こえる。オルガン音階もあまり分解できていないよう。指板にあたるカツン音もまだ響く感じがする。

・バスレフ(下向):
03.バスレフ(上).JPG

ティンパニーの打音も目立ってきて、トゥッティの迫力もそれなりの雰囲気に。ウッドベースの量感が感じられる。

・音響迷路:
03.音響迷路(BH).JPG

オーケストラのスケールが一回り大きくなったように聴こえる。オルガンの音程もそれなりに聞き取れる。ベースの迫力が出ててきた。

これだけだと単に主観的な感想になるので、各曲の周波数特性を測ってみました。

左チャネルのみとし試聴位置(1.8m, これでスピーカに対し約15°)にスマホを設置し、曲をかけてホールド特性をみます。

その前に楽曲自体の特性を"Music Frequency Analyzer"で調べてみました。
このアプリはリッピングした楽曲データをデジタル解析できます。つぎの結果は楽曲全体の周波数特性(ピークホールド)を解析表示したものです。

04.オルガン付き.PNG

「オルガン付き」は全域きれいになだらかです。

04.バードフード.PNG

「バード・フード」は 63-250Hzのレベルが結構高く録音されてます。

この特性がスピーカーでうまく再現できれば原音再生になるのでしょうか、疑問ではありますが。

「オルガン付き」の実機計測は、上から密閉、バスレフ(上向)、バスレフ(下向)、音響迷路の順です。

05.実測(オルガン付き).PNG
# 20Hz,31.5Hzは自動車などの外部騒音なので無視ください。
# 見やすくするために、80Hzと100Hzの間にラインを後から引いています。

密閉でも125-200Hzがそれなりのレベルがありますが、バスレフ(上向)になると同帯域が強調されているようです。
バスレフ(下向)にすると 160、200Hzが若干下がり 100、125Hzにエネルギーが移動しています。
音響迷路だと100Hzがさらに上がり、80Hzが6dB上昇しました。

「バード・フード」でも傾向は同じようです。

05.実測(バードフード).PNG

バスレフ(上向)の160、200Hzはかなり突出してますね。
音響迷路方式は63Hzくらいまで効果を期待していたのですが、特性を見る限りあと一歩というところです。

上下合わせたシステムサイズからすると、もう少し頑張って欲しかったところです。さらに音道を延ばすか、ダブルバスレフ方式に切り替えるか。

今回は低域方向の特性が方式によってどう変化するかに注目して試聴、計測しました。
デスクトップ設置として考えるとそんなにバリバリ低音強調する必要もないでしょう。密閉やバスレフでも充分な再生能力がこのユニットにあるのがわかりました。

後は、好みや楽曲によって上下ひっくり返すとかダクト塞ぐとかすればいいかと思います。本格的に聴く時には下部キャビネットに載せてという使い方になるでしょうか。ちょっと面倒臭いですかね。
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2022年09月26日

MarkAudio OM-MF4-MICA スピーカー製作 (3)

MarkAudio OM-MF4-MICA スピーカー用に製作したスピーカースタンド、メインスピーカーとのセッティング次第で様々なSPシステムに変身します。

・Main SP(バスレフ・ポート下側)
01.バスレフ(下)_1.JPG

まずは、上部キャビだけの小型バスレフの周波数特性を測ってみます。
なるべく同条件になるように、下部キャビの上に一枚板を挟み隙間ダクトを確保します。

01.特性バスレフ(下).PNG

TAOC スタンドの時より、100-160Hz が上がりましたが、エージングのせいかな。見た目はまずまずの周波数特性かと思います。

・Main SP(バスレフ・ポート上側)
02.バスレフ(上)_1.JPG

次に、上部キャビをひっくり返します。ユニットは中央配置なので正面から見る分には変わりありません。ダクトが天板側になり約 5cm と長さは短くなります。

02.特性バスレフ(上).PNG

周波数特性は 100-160Hz の山が 160-200Hz に移動しました。
計算上は fd=240Hz くらい。デスクトップに置く場合は、楽曲によって上下を入れ替えてもいいかもしれません。

・Main SP+スピーカースタンド(BH)
03.BH_1.JPG

いよいよ、下部キャビと接続し、どの程度低い周波数まで再生できるか確認です。

03.特性BH(1).PNG

おっと、250Hz にピークが、、、共鳴ダクトとして計算した 234.5Hz の波長がもろに出ています。共鳴管として機能していますね。

確かに、バックロードホーンとしては上部キャビ容積が大きく、スロート部分も結構面積があって開口率が小さいので、ホーンとしての動作はないかなと考えていました。

バスレフ方式と比較して 100-160Hz のレベルは同じ程度、40-63Hz が若干レベルが上がっているようです。1/4 波長の効果かもしれません。

250Hz ピークは後で細工を考えるとして、今度は下部キャビをひっくり返してみましょう。

・下部キャビ・上下反転
04.密閉(1)_1.JPG

底板はダクト接続穴はありませんが、上部キャビを載せられるよう天板と同サイズの補強板を付けています。
上部キャビを載せるとこれまたピッタリと合体します。

・Main SP(密閉型)
04.密閉(2)_2.JPG

これで上部キャビはバスレフ動作ではなく密閉方式になります。

04.特性密閉(1).PNG

低域特性はバスレフのようにストンと落ちるのではなく、100Hz以下で緩やかに下がっていきます。密閉として計算した f0c は 137.5Hz になります。

4通りの使い方とそれぞれの周波数特性を測ってきました。各方式についておおよそ考えていた動作、特性が出ていたように思います。

上下キャビの接続箇所からの空気(音)漏れを心配していましたが、計測結果からは大きく漏れている様子はなさそうです。

今回は計測中心の説明になってしまいましたが、次回は試聴報告と 250Hz ピーク対策について考えたいと思います。
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2022年09月24日

MarkAudio OM-MF4-MICA スピーカー製作 (2)

MarkAudio "OM-MF4-MICA" スピーカーに合わせて、専用スピーカースタンドを用意しました!

高さ462mmのスピーカースタンドになります。本体キャビをのせると前高662mm(ユニット中央までは562mm)です。

01.キャビ(L).JPG

上面に穴が空いてます、裏側下部にも開口部が見えますね。

02.キャビ(裏).JPG

それでは、ユニットの付いた本体を載せてみましょう。ピッタリはまります。

03.SPシステム.JPG

実はこのスピーカースタンド、ホーン構造になっているんですよ。

04.組立(4).JPG

ホーン構造といっても音道の長さはそれ程ありません。
下部キャビだけで約1400mmの長さです。なので、CWホーンと共鳴管や音響迷路の中間的な感じでしょうか。

上部キャビとの組み合わせではつぎの写真のような構造となり、上部キャビダクトと合わせて音道はトータル1450mm長になります。

05.組立(6).JPG

共鳴ダクトとして考えると [音速÷音道の長さ] で

340m/s÷1.45m = 234.5Hz

の波長になるでしょうか。

参考までに板取写真を。

06.板取(2).JPG

これも側板に対して音道順に張り合わせていくだけなので、製作時間は3時間程度で終了。内部を仕切る板の間隔を合わせるのが注意点ですね。

次回はこのSPシステムの驚きの機能を計測結果と合わせて、ご紹介したいと思います。
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2022年09月21日

MarkAudio OM-MF4-MICA スピーカー製作 (1)

「これならできる特選スピーカーユニット 2022年版マークオーディオ編」付録の Mark Audio "OM-MF4-MICA"、やはり6cmユニットということで小型バスレフでいくことにしました。製作もとても簡単です。

机の上に置いても無理のないサイズ感というところで、幅12cm、奥行15cm、高さ20cm程度に納まるよう板取を考えます。

01.板取(1).JPG

板厚12mmのMDFを材料として板幅100mmのバッフル、天板、底板、裏板に200x150mmの側板で挟む形、バスレフダクトは底板から裏側に逃がすようにします。

板数が少ないのでカットも楽、製作も側板に順次張り合わすので難しさはありません。

02.組立(1).JPG

仮組時点ではダクト方向をユニット側にしていましたが、もう少しダクト長を稼ぎたかったので裏板に向く方向に変えています。

03.組立(2).JPG

底ダクトから裏板側に抜けるよう底板は12mmの隙間をあけています。

04.組立(3).JPG

内容積は1.9L程度、断面積が途中で変わるのでダクト周波数(fd)の計算は大雑把ですが170Hz程度の想定です。

吸音材を天板側に少し入れ、側板を貼り付ければ完成。

05.完成(正).JPG

06.完成(裏).JPG

接着剤の乾燥に1日待って特性を測ってみました。昨年とは測定場所が変わったので標準SPのFOSTEX "FE83N"との比較をしてみました。

08.FE83N.JPG

ピンクノイズを再生、アンプボリューム同位置、計測スマホ軸上1m、 "Audio Frequency Analyzer" アプリで計測した 周波数特性がつぎのとおりです。

・OM-MF4-MICA 周波数特性
07.特性(OM-MF4-MICA).PNG

・FE83N 周波数特性
09.特性(FE83).PNG

OM-MF4-MICAの中高域特性は見事にフラット、16kHz以上はマークオーディオの個性ですかね。30度特性で平坦になることを期待しているのでしょう。

ダクト周波数はこの特性からすると160Hz近辺でしょうか、見た目は100Hz-12.5kHzフラットになっています。

FE83Nの方は1k-2kHzが若干レベル高目になっているようです。

ざっと試聴した感想は、よくある紙臭い音ではなかったです。シンバル、フルートの高域も綺麗に拡散する感じ、ピアノの粒立ちも感じられます。

さすがにベースの基音、オーケストラのトゥッティ再生は厳しいですね。ニアフィールドで壁に近づける設置であればもう少し低い方の伸びが期待できるかもしれません。

ということで後は塗装くらいでしょうかね。

いいえ。いくら小型とは言え机周りにそんなスペースがない。通常のセッティングでも聴いてみたいけどわざわざ台を用意するのもな〜。

というお声から、今回この小型システムとマッチしたスピーカースタンドをご用意しております。(え〜、そんな声聞いたことないわ)

そのスピーカースタンドがこちらになります、、、次回につづく。
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posted by toons at 19:15| Comment(0) | オーディオ

2022年09月20日

「これならできる特選スピーカーユニット 2022年版マークオーディオ編」- OM-MF4-MICA を入手!

OM-MF4MICA_ユニット(1).JPG

ようやく今年のStereo誌ムック本 ONTOMO MOOK「これならできる特選スピーカーユニット 2022年版マークオーディオ編」を入手しました。

OM-MF4MICA_ユニット(2).JPG

今回のユニットはマークオーディオ "OM-MF4-MICA"、6pフルレンジです。

外見からは、2020年版ユニット"OM-MF4"の振動板を紙にして軽量化を図っただけのように見えますが、本誌内容ではその他細かい改良が加えられているようです。

・OM-MF4-MICA T/Sパラメータ
 Re = 6.8Ω
 Fs = 106.69Hz
 Vas = 1.17L
 Qts = 0.55
 Sd = 23cm2
 Mmd = 1.33g
 Mms = 1.39g
 Spl = 85.23dB/m
 Max Power = 7W(Nom)
 XMax = 4.0mm(1way)

・OM-MF4 T/Sパラメータ
 Revc = 8Ω
 Fs = 97.5Hz
 Vas = 1.15L
 Qts = 0.64
 Sd = 24cm2
 Mmd = 1.63g
 Mms = 1.69g
 Spl = 83.41dB
 Max Power = 7W(Nom)
 XMax = 4.0mm(1way)

機械システムのムービングマス(Mmd)が 0.3gも軽くなっています。Fsが高くなり、音圧レベルも上がっています。

Qtsが下がっているので、少し負荷のかかるダクトでもうまく鳴ってくれそうです。

OM-MF4-1.jpg

2020年版ユニット"OM-MF4"はデザイン優先で設計して、デスクトップオーディオとして活躍中。

今回は素直なバスレフでいくか、、、どうかは次回のお楽しみ。
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追記)OM-MF4 関連記事
MarkAudio OM-MF4 プロジェクト vol.1 - ブレストデトネイター 誕生

posted by toons at 18:01| Comment(0) | オーディオ

2022年09月15日

ビル・エヴァンス - 追憶の時

BillEvans-TimeRememberd.jpg

本日はビル・エヴァンスの命日。

ビル・エヴァンスのジャズピアノの魅力にずっと憑りつかれてきました。1980年に亡くなって42年もの歳月が流れても、彼の音楽はいまも人々の心を惹き付け続けています。

久々に、ビル・エヴァンスを描いた映画「Time Remembered: Life & Music of Bill Evans」を観てみました。
波乱万丈の人生を描いたドキュメンタリー、その生き様の壮絶さを改めて実感できました。彼に関わりのあったミュージシャンのインタビューやビル・エヴァンスの肉声も入っているので貴重な記録です。

残念ながら、実際のライブを聴く機会はなかったのですが、ビル・エヴァンスと同じ空間にいたことがあります。

京都木屋町のジャズクラブ「Lady Day」、、、その昔よく通っていたバーで、毎晩のようにライブ・セッションが催されていました。

そのお店の漆喰壁に、大勢のミュージシャンに混じって、ビル・エヴァンスの手書きサインが!!
おそらく、日本ツアーの際に立ち寄ったのでしょう。ここに居てたんだよなと思いながら、カウンターでバーボンを飲んでいた記憶があります。

お店もかなり前に閉店してしまって、もう由来を訊ねることもできませんが、、、あのサインが描かれた漆喰壁、閉店したときに一部削り取ってでも譲り受けたかったなぁ。
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posted by toons at 23:55| Comment(0) | オーディオ

2022年09月14日

新しいミニスキレット - ロッジ 6-1/2インチ グリルパン

Lodge-mini-grill-1.jpg

新しいミニスキレット(L3GPJPN)をゲット!

US No.1ブランドの LODGE(ロッジ)6-1/2インチ スキレット、しかも グリルパン仕様です。

こんな小さなサイズで、グリルパンがあるなんて知りませんでした。

たまたま某大手ネット通販で見つけて入手してみました。超格安だったので、てっきり並行輸入品だろうと思っていましたが、、、

ロッジ日本総代理店であるアウトドア専門店「A&Fカントリー」が日本市場向けに企画した正規オリジナル商品だそうです。コロナ蔓延のすこし前、ミニスキレットがブームだった頃にリリースされたようですね。

Lodge-mini-grill-2.jpg

通常の6 1/2インチ・ミニスキレットと並べてみると、このとおり。これで 3兄弟になりました!

このような小さなサイズのグリルパンを使うニーズは少ないためか、在庫処分で売られているのでしょう。

この商品、ロッジならではの鋳鉄5mm厚で、グリル用の波型ラインもしっかりしていて、底面の厚みがさらに増しています。

まだ使い始めで最適な用途を探しているところなのですが、ローストでは接触面積が少なすぎて熱が入りずらい感じですね。ほかのスキレットと併用して、仕上げで肉に焼き目を付けたり、余分な脂を分離するのにはとても重宝しそうです。

とりあえず、ミニスキレットによる料理バリエーションがさらに増えるのが楽しみです。
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posted by toons at 22:49| Comment(2) | カルチャー

2022年09月06日

超ミニひまわり

mini-fimawari.jpeg

友人に花苗をお分けした「超ミニひまわり」が無事に咲いたそうです!

我が家では、この夏の悪天候でどうもうまく育っていません。あと残り少ない夏にきれいに咲いてくれることを期待しています。
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posted by toons at 23:01| Comment(0) | 日記