2019年06月12日

Nakamichi CA-5 プリアンプ修理(1)

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Nakamichi CA-5 プリアンプの修復作業中。

ナカミチのサービスマニュアル(英語版)を入手できました。

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回路図をみてみると、やはりシンプルなディスクリート構成のようです。
1980年代半ばの製品ですので、表面実装部品も使われておらず、融点の高い無鉛ハンダでもないので、部品交換は容易そうです。

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メイン基板のフラットアンプ部をまずチェックしましたが、正常に動作していましたので安心しました。やはり部品点数も少なく、ゆったりした部品配置のため、電子部品に熱ストレスがほとんど加わっていないせいだと思われます。

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つづいて、左チャネルの音が途切れる原因を調べたところ、メインボリューム(NOBLE : 帝国通信工業)は正常ですが、バランスボリューム(ALPS : アルプス電気)はとても不安定でセンター位置でも接触不良を起こしていることが判明しました。

一旦、バランスボリュームをバイパスして、入力信号をメインボリュームにダイレクトに流してみたところ、なんら問題なく再生できるようになりました。信号系コネクタの接点洗浄もおこないましたので、音の鮮度も高くなりました。

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不具合のバランスボリュームはALPS製ミニデントボリューム(RK271シリーズ、MNタイプ)でした。同じ抵抗値ではありませんが、現在も製造中のオーディオ用部品のため簡単に入手できました。左右バランス調整用のMNタイプのボリューム部品はほとんど現存していないので、アルプス電気の姿勢には本当に頭が下がります。

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バランスボリュームを部品交換したところ、音切れやノイズもなくなり、オリジナルに近いであろうサウンドで鳴っています。

たぶんフラットアンプ部での音作りだと思いますが、低域がとてもしっかりした濃密なサウンドで、解像度もかなり高いです。ナカミチのカセットデッキで聴けるようなリアルなモニターサウンドとはすこし違っています。やはり、アンプ設計者・ネルソン・パス氏の音作りなんでしょうね。

接続したパワーアンプが純A級アンプということもありますが、リファレンスのフルデジタルアンプのクールサウンドとは真逆のホットなサウンドイメージです。

メインボリュームやスイッチ類の接点クリーニングはすこし面倒なので、この状態でしばらくエージングしてみます。

そのうち、細部をチェックしながら、サウンドをブラッシュアップしていこうと思います。
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追記)このCA-5(CA-50)、海外のオーディオマニアの間では超高音質なフォノアンプとして有名なようです。
内部回路の半分以上が完全ディスクリート構成のフォノ・イコライザーアンプとMCヘッドアンプで占められています。

ネルソン・パスの超シンプルなアンプ設計ですし、現在であれば数十万クラスのフォノアンプ製品に匹敵するでしょう。海外のマニアがわざわざ中古市場を探しているというのは肯けます。

YAMAHA GT-2000Lに接続してレコード再生をしてみましたが、いままで聴いたことのないような素晴らしい音質でした。確かに、フォノ専用アンプにしてしまうのもありだと思いました。

なお、CA-5 II(CA-50 II)やCA-7(CA-70)は、ナカミチのエンジニアが日本向けにアレンジした複雑な回路構成なので、ネルソン・パスが本来志向したサウンドは得られないようです。

関連記事:Nakamichi CA-5 Preamplifier ... CA-50 !? ... ネルソン・パス設計の日本製プリアンプ

(追記: 2023/4/27)
このアンプに接続して評価した純A級アンプはなにかというご質問をいただきました。

このとき接続していたのは、1995年にリリースされた「Accuphase A-20」という純A級アナログ・パワーアンプです。
パワーは20W(8Ω負荷時)と小出力アンプながら、駆動力も十分あり(8OW、2Ω負荷時)、その音質の良さは抜群です。緻密なディテールと透明感は素晴らしいです。クオリティ重視の小型システム、あるいはマルチアンプシステムにおける中高域アンプとして使用するのに適しています。

https://www.accuphase.co.jp/cat/a-20.pdf

1993年に発売された「A-50」より明らかに音がいいと感じましたので、97年に導入しました。いわゆるアキュフェーズ・トーンと呼ばれていた当時のサウンドから脱皮して、同社の純A級アンプシリーズが定着するきっかけとなった製品だと思います。

いまだに現役で、一切故障もなく稼働しています。純A級アンプなのでそれなりの発熱量があり、冬には暖房の補助になるのでサブシステムでフル稼働しています。しかし、今年(2023年)の冬は電気代高騰のため、運用は最小限に止めざるを得なかったが残念です。


posted by toons at 20:40| Comment(2) | オーディオ
この記事へのコメント
とても興味深い記事をありがとうございます。
このプリアンプCA-5に接続されたパワーアンプが純A級アンプということですが、参考までに機種をお教えください。
よろしくお願いします。
Posted by ACCA at 2023年04月27日 00:28
CA-5と接続したパワーアンプは「Accuphase A-20」、純A級20Wのアナログアンプです。本文に参考記事を追記しましたので、ご参考になれば幸いです。
Posted by toons.t at 2023年04月27日 03:35
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