十数年前、金沢を旅したとき、金沢蓄音機館で様々なタイプの機械式蓄音機を聴く機会がありました。
そのなかでよく覚えているのは、「Victrola Credenza (ビクトローラ・クレデンザ)」、「蓄音機の王様」ともいわれた名機、1925年に製品化されたものです。当時、家一軒が購入できる価格だったとか。
それまで、ごく一般的なSP蓄音機は何度も聴いたことがあったのですが、このビクトローラ・クレデンザの再生音には驚かされました。
78回転SPレコードを電気増幅なし、ホーンスピーカー(コンパクトに折り畳まれた全長180cmホーン)のみでメカニカルに再生しているにもかかわらず、とてもモノラルとは信じられない深く繊細な音で、臨場感がとくに素晴らしい。しかも小規模ホールでも十分なほどの再生音量(ダイナミックレンジ)でした。
たしかに再生周波数レンジは狭いですが、人の聴感のスィートスポットを知り尽くした絶妙なチューニングが施されているのでしょう。むしろ楽器といったほうがいいかもしれません。100年前に、音楽を忠実に録音再生できる技術がひとつの頂点に達していたのを改めて実感した体験でした。それから、すっかりSPレコードマニアの方々(そのセンスと耳の良さ)を尊敬するようになりました。
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