2019年02月17日

iPhone/iPadのBluetoothオーディオ - AACの周波数特性

soundsync-6.jpg

先日入手したAnker「Soundsync A3341」Bluetoothトランスミッター&レシーバーは、Bluetooth通信チップに「Qualcomm CSR8675」という最新デバイスを採用しており、最新のBluetooth 5.0対応およびaptX-HD/LLオーディオコーデックも搭載しています。

残念ながら、iPhone/iPadなどApple製品においてBluetoothオーディオではAACとSBCしか対応していません。

音がいいと言われているaptX系コーデックはQualcommが保有する技術なのですが、、、両社が係争中のために、Apple製品に搭載されている無線通信デバイスではQualcommが排除されているらしいです。

とりあえず、手元にあったiPhone6sおよびiPad mini2(いづれもiOS12.1.4)でBluetoothオーディオを試してみました。

iPhone6s/iPad mini2を送信側、Soundsyncを受信側としてBluetooth接続すると、Musicアプリの音楽再生が問題なく通信できることを確認しました。

とくに音が途切れるようなこともなく、ボリュームも遠隔コントロールできます。再生音質は事前の想定よりはいい感じですね。

受信側のSoundsyncでは、AACの選択ステータスが表示(電源ボタンのところにあるLEDの点滅表示)され、さらに光デジタル接続するとサンプリングレート44.1kHzでデジタルデータ出力されていることも確認できました。
他社製品ではどんなオーディオコーデックが選択されているか表示されないので、Soundsyncはとてもいい製品だと思います。

オリジナル音楽データは44.1kHzサンプリングのALAC(Apple Lossless)でしたが、送信端末側でBluetooth送信処理時にAACで再エンコードされているようです。

もし音楽データがAACフォーマットの場合でも、いったんリニアPCMにデコードされ、他のサウンドデータ(着信や通知音など)とミキシングされて再びAACエンコードされるようです。

#iPhone/iPadでのBluetooth通信・オーディオ接続状態
・オーディオコーデック:AAC
・サンプリングレート:44.1kHz

そこで、このBluetooth通信でのAACコーデック時のオーディオ信号が、どのような周波数特性をもつのか調べてみました。

ノイズ生成アプリ「Colored Noise Generator」を起動させてホワイトノイズ信号を生成して無線送信し、SoundsyncでBluetooht受信したデジタルデータを評価してみました。

下記は、全周波数帯域でフラットな特性をもつホワイトノイズでのFFTによるテスト解析結果です。

赤ラインがFFTのピークホールドで、サウンドデータの周波数特性に相当します。緑ラインはホワイトノイズの瞬間値になります。

<ホワイトノイズ:送信側アナログ出力>
CNG-white-analogout-3.png

<ホワイトノイズ:Bluetooth通信経由の受信オーディオ信号、AAC、44.1kHzサンプリング、デジタル出力>
CNG-white-bt-opt-3.png

いづれの周波数特性とも低周波から高周波までほぼフラットでかなり優秀な特性です。

しかし、FFT解析結果を比較すると、Bluetooth接続した受信側オーディオ信号には、19kHz以上の周波数成分がまったく出力されていません。

オーディオ信号生成アプリ「Audio Tone Generator」でサイン波スィープ信号や19kHz以上のサイン波を出力して試しましたが、まったく同様の結果でした。

結論として、Bluetooth送信時に、サウンドデータの周波数帯域が制限されているようです。つまり、AACの再エンコードの際に、急峻なデジタルフィルタで高周波帯域をカットしているものと推察されます。

残念ながら、Bluetooth 4.x接続において、現状のAACのオーディオ特性にはすこし制約があるようですね。(iPhone6sはBluetooth 4.2、iPad mini2はBluetooth 4.0)

おそらく無線通信伝送レートの制約で、AACエンコードのビットレート(おそらく、128-192kbps程度)に制限がかかり、オリジナルサウンドデータから高周波成分をカットしたようなAACエンコードをおこなう必要があるためだと思います。

ちなみに、iTunesで、DENONのAudio Check CD(COCQ-83805)のホワイトノイズ(20-20kHz)をAAC-192kbpsエンコードでリッピングしたデータのFFT解析結果をつぎの示します。やはり、19kHzを少し超えたあたりから、高周波成分が急峻にカットオフされています。

<ホワイトノイズ:iTunes AAC-192kbpsエンコードデータ、MacBookProアナログ出力>
white-noise-iTunes-AAC-192kbps-2.png

また、AAC-128kbpsエンコードでは約18kHzで高周波成分が急峻にカットオフされていました。つまり、AACエンコード時のビットレートによってカットオフ周波数はかなり異なるということみたいです。

無理に高周波成分の再現性にこだわって変なノイズ成分が混入するよりは、聴感上で聴きやすい音質にチューニングするためでしょう。

Bluetooth自体はかなり制約の多い規格なので、多くを求めるのは難しそうですね。Bluetooth 5.0対応端末が手元にないので未確認ですが、Bluetooth接続ではaptX-HD/LLやLDACを使えるAndroid端末にはサウンドクオリティでかなわないと思います。AppleとQualcommとの特許係争が早く収束して、上位オーディオコーデック規格も使えるようにしてほしいものです。

やはり、Apple製品の場合、本格的なオーディオ品質を云々いうにはBluetoothオーディオではなく、AirPlay 2をつかうべきなんでしょうね。WiFiなので、室内環境しか適用できないのは残念ですが、、、

#追記(2/18)
Bluetoothの最大通信速度、データスループット、受信側AACデコーダ能力など各種条件に応じて、相互接続の伝送パラメータが決まるので、送信側・受信側のいづれでAACエンコード条件に制約を生じているのかはっきりしません。

Bluetooth 4.xの物理層での最大通信速度は1Mbps、データスループットの理論値はver4.0で305kbps、ver4.2で805kbpsです。ということで、もうすこしAACのビットレートは上げられそうな感じなのですが、、、

また、Bluetooth v5.0では、最大通信速度が2Mbpsに拡大され、データスループットも1.43Mbpsとアップしていますので今後期待できそうです。

#追記(2/20)
ホワイトノイズによる各周波数特性グラフをすこし見やすいものに変更しました。画像クリックすると拡大表示できます。

参考までに、サイン波の周波数応答を測った解析結果を以下に示します。やはり、Bluetooth経由の受信オーディオ信号では、19kHzで -40dB以上低くなり、20kHzでは -80dBとほとんど出ていませんね。

<サイン波:送信側アナログ出力>
ATG-sine-anlogout.png

<サイン波:Bluetooth通信経由の受信オーディオ信号、AAC、44.1kHzサンプリング、デジタル出力>
ATG-sine-bt-opt.png
posted by toons at 10:11| Comment(0) | サウンド

2019年02月14日

iPhone/iPadのBluetooth接続用にAnker "Soundsync"を入手!

SoundSync-1.jpg

Anker「Soundsync A3341」、Bluetooth5.0 トランスミッター&レシーバーを入手しました。

Bluetooth通信で送受信可能なオーディオインタフェース機器で、受信(RXモード)と送信(TXモード)のいづれかを選択して動作させることができます。また、リチウムポリマー電池を内蔵しているので、モバイル利用も可能です。

オーディオのワイヤレス接続が当たり前になってきていますので、iPhone/iPadと接続したときのサウンド・パフォーマンスを知りたいと思っています。
Bluetoothヘッドホンなどでは固有の音作りがされていますので、このようなオーディオインタフェース機器のほうが素性がわかりやすいと考えての選択です。

製品の質感はかなりいいと思いますが、すこし大きくて重いので、モバイル向けにはどうかなと感じました。

SoundSync-4.jpg

また、アナログ入出力(AUX)に加えて、光デジタル入出力(SPDIF)も備えていますので、デジタルオーディオ接続ができるのはオーディオファンには魅力的な仕様です。

Bluetoothオーディオのサウンドクオリティを判断するのに役立ちそうです。

SoundSync-2.jpg

Ankerの製品パッケージは、Apple製品のようなシンプルで品の良さを感じます。

簡易的なものですが、光デジタルケーブル、Micro USBケーブル、ステレオミニピンケーブル、ミニピン-RCA変換ケーブルも付属しています。

この機器はAACにも対応していますので、iPhone/iPadなどApple製品でのワイアレス・オーディオがAACで試せると思って調達しました。送信(TXモード)でAACが非対応と、すこし残念な仕様となっています。

すこし使ってみた感じでは、実際のスペック上で、すこし制約がありそうな感じです。その件を含め、また次回レポートしたいと思います。

参考までに、主な製品仕様を下記に示します。

・メーカ:Anker
・製品名:Soundsync A3341
・機能:Bluetooth オーディオ・トランスミッター/レシーバー 
・規格:Bluetooth V5.0
・通信周波数:2.402 - 2.480GHz
・Bluetonthチップ:Qualcomm CSR8675(Bluetooth Audio SoC)
・内蔵バッテリー:リチウムポリマーバッテリー、350mAh
・動作時間:RXモード:約17時間(AUX)、約13時間(SPDIF)
      TXモード:約25時間(AUX)、約20時間(SPDIF)
・スタンバイ時間:120時間(RXモード)
・充電時間:2時間
・対応プロファイル:RXモード:A2DP、AVRCP
          TXモード:A2DP
・対応コーデック :RXモード:aptTX-HD、apt-LL、apt、SBC、AAC
          TXモード:aptX-HD、apt-LL、apt、SBC
・外部インタフェース:アナログ入出力(AUX:3.5mmステレオミニピン)、
 光デジタル入力ポート(SPDIF)、光デジタル入力ポート(SPDIF)、
 電源ポート(microUSB-5V)
・スイッチ:RX/TXモード切り替えスイッチ、電源&機器ペアリング・スイッチ
・ステータスLED:パワーON、充電状態、機器ペアリングの状態、
 選択コーデックの表示
・ペアリング機能:最大2台までの同時接続が可能。
・サイズ:70 x 70 x 22mm
・重さ:51.5g

備考:A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)、AVRCP(Audio Video Remote Control Profile)
posted by toons at 23:58| Comment(0) | サウンド

2019年02月06日

地下鉄の音 - Bill Evans "Waltz for Debby"

WaltzforDebby-bill.jpg

ビル・エバンス (Bill Evans) トリオのライブ・アルバム "Waltz for Debby"

ビル・エヴァンスの大ファンとして、とても大好きな特別なアルバムです。

1961年6月25日のレコーディングですが、その11日後の7月6日にベーシストのスコット・ラファロ (Scott LaFaro) が交通事故で他界したため、貴重なライブ録音&名盤中の名盤として有名です。

同日録音の"Sunday at Village Vanguard"は、別のテイクをセレクトして最初にリリースされた姉妹アルバムです。

ニューヨーク7番街にある名門ジャズクラブ、ヴィレッジ・ヴァンガードのライブシーンが、客席の会話や食器の擦れ合う音まで収録されていて、とても臨場感に溢れています。

ビル・エヴァンスはまだ知名度も高くなく、さらに日曜日だったので、客の入りがまばらだったせいもありますが、、、  おかげで、録音レベルが若干高めなのかも。

WaltzforDebby-4s.jpg

最初の"My Foolish Heart"は映画音楽を美しいジャズバラードに昇華させたロマンチックな演奏でお気に入り一曲です。

実はこのアルバム、ヴィレッジ・ヴァンガードのごく近くを通る地下鉄の音が特定の曲でかすかに聞こえます。

この音、オーディオ・マニアやビル・エバンス・ファンの間で長らく噂されてきました。ということで、久々にじっくりと確認してみました。

地下鉄の音が入っているトラックの該当箇所はつぎのとおり。

1. My Foolish Heart | 発生時間 1:00〜1:04、2:52〜2:55
2. Waltz for Debby (take 2) | 発生時間 6:34
4. My Romance (take1) | 発生時間 4:55〜5:00
5. Some Other Time | 発生時間 00:14〜00:19, 3:55〜3:58, 4:12〜4:17
10. I Loves You, Porgy | 発生時間 2:09〜2:12, 4:38〜4:42

主に右チャネルに入っています。トリオ演奏とは関係なく、電車が地下トンネルを通過する低周波音で、暗騒音レベルも上がって聴こえてきます。
お店が地下1階にあるので、低周波音が透過しやすいのでしょう。

どう聴こえるかはオーディオシステム次第ですが、この騒音の周波数は30〜40Hzで、低音再生能力のサウンドチェックに活用できますね。(CD、SACD、LPなどメディアの種類、マスタリングの違いなどによって、騒音時間は微妙に前後するかもしれません。追加トラックの曲順が異なるバージョンもあります。)

WaltzforDebby-LP-2.jpg

おまけで、LPの裏面、Joe Goldbergによるオリジナル・ライナーノーツを!

posted by toons at 19:59| Comment(0) | サウンド

2019年01月09日

TRIO KA-8100 リターンズ

ka8100-201901-org.jpg

物置に長らく眠っていたビンテージアンプ、TRIO「KA-8100」インテグレーテッドアンプを取り出してきました。

昨年、サンスイ「AU-5500」を修復してすこし自信がついたので、このアンプでもトライしてみようと思っています。

ちなみに、トリオ(TRIO、海外ブランド:KENWOOD)はかつてあった老舗オーディオ専業メーカーで、1960年代から御三家として、山水、パイオニアとともに有名でした。もともと無線通信機器を製造しており、高級FMチューナーでも有名でした。創立者が1972年に社内クーデターで会社を追われ、ケンソニック(現在のアキュフェーズ)を創業しています。現在は、2008年にケンウッド(1986年に社名変更)と日本ビクターが経営統合して、JVC ケンウッド(JVC KENWOOD)になっています。

TRIO「KA-8100」は41年前の1978年に発売された製品です。
ハイスピードDCインテグレーテッドアンプと称して、高スルーレート、ワイドバンドな周波数特性など物理特性重視になった時期の製品です。このシリーズには他にKA-9900、KA-8700、KA-8300があり、このアンプは一番ローエンド機種のようです。このあと、シグマドライブとかわけのわからないNF技術に傾注した製品を出したりしていたので、トリオのアンプとしては一番充実していた時代だと思います。

ka8100-rear-org.jpg

この「KA-8100」は3年間ほど使用して、その後ずっと物置にしまわれていたようです。

フロントパネルにはほとんど無傷できれいです。さらに、リアパネルもきれいで錆も浮いていません。ただ、SP-Aのスピーカ端子が一本破損していました。電源ケーブルも換装されて、50cm程度に短くなっていました。

とりあえず、通電してみましたところ、煙など出ることもなく、保護回路が解除されて、無事音がでました。
しかし、どうも動作が不安定で片チャネルの音がでなかったり、歪んだりします。しばらく通電していると、ステレオで音がまともな音が出るようになりました。致命的ではなさそうですが、どこかに接触不良などがありそうです。

音の傾向としては、サンスイAU-5500の分厚い音とはまったく方向性が異なり、高域の伸びた爽やかな音です。どうも好みが分かれそうなサウンドです。

ka8100-inner-1-org.jpg

ケースを外して、内部上面を確認しましたが、元箱に収められていたせいで、ほとんど埃や汚れはありません。
内部構造をみると、前年発売のKA-7100Dにとてもよく似ています。

ka8100-bottom-org.jpg

さらに裏蓋をはずして、びっくり、すこし改造の後がありました。メイン電源のブロックコンデンサにフィルムコンデンサをパラっていたり、信号配線が直出しになっていたりします。

なんでこんなことをしたのか?ですが、おそらくオリジナルの音に満足できなかったんでしょうね。一旦、もとの状態に戻してから、修復したほうが早道だと思います。

また、DC漏れをチェックしてみましたが、両チャネルとも0.1mV以下と優秀でした。DCアンプと称しているだけあります。

ともかく、「KA-8100」アンプの修復にはかなり時間がかかりそうですね。
posted by toons at 23:55| Comment(0) | サウンド

2019年01月05日

ベルデン 8460 スピーカケーブル

belden8460-1b.jpg

ベルデン 8460 スピーカケーブルを入手しました!

ベルデンのプロ用スピーカケーブルで、かなり古い設計のものらしいです。
ちょっと細い18AWG(0.823 mm2)、錫メッキ銅線で、とても硬い線材です。超格安、約200円/m程度で入手できます。

オーディオショップで通常販売されているベルデンのオーディオ用ケーブルは、それなりの値段ですので、このケーブルのコストパフォーマンスは素晴らしいと思います。

belden8460-2.jpg

このケーブルは、白黒2線がCW(時計回り)方向に軽く捩ってあり、さらに内部の錫メッキ線材もCWにすこし捩っているようです。ここにケーブル設計上の秘密がありそうですね。

実際に使ってみて、すこし個性は感じられましたが、かなりニュートラルで、アンプやスピーカをとくに選ばない素性の良さを感じました。たしかに線材の硬さや見栄えには不満はありますが、サブシステムはしばらくこれでいこうかと思っています。

高級ケーブル沼に嵌っている人は一度試して、脱出を試みるのもありかもしれませんね。

#BELDEN 8460 スペック(Belden社データシートより)
・用途:室内用スピーカケーブル
・ワイヤゲージ規格:18AWG
・導体:High Conductivity TC - Tinned Copper;7 x #26AWG
・絶縁材:PVC - Polyvinyl Chioride;厚さ 0.02 inch
・サイズ:0.18 inch
・DCR:5.9Ω/1000ft(19.4mΩ/m)
・インダクタンス:0.19uH/ft(0.62uH/m)
・最大許容電流:5.2 Amps per conductor@25℃
・UL電圧規格:300V RMS (UL AWM style 1007)


posted by toons at 07:46| Comment(0) | サウンド

2019年01月02日

SANSUI AU-5500 レストア(13)オーディオ特性

AU5500-at-owner.jpg

昨年修理した「サンスイ AU-5500」はオーナーの元で、毎日元気に音楽を奏でています。

大晦日に「AU-5500」のサウンドを聴きにいきましたが、トラブルはとくに発生していないとのことでした。そのサウンドは1970年代のアンプとは思えないレベルで、期待した通り、とてもクリアに鳴っていたので安心しました。

修理時に動作評価していたオーディオデータをもとにオーディオ・スペックとしてまとめてみました。

<AU-5500 修理品 オーディオ・スペック>
・S/N比:75dB (1kHzサイン波、1W)
・残留ノイズレベル:-95dB(AUX2入力)
・周波数特性:20 - 21000Hz ± 3dB(1W)

参考までに、計測サウンドデータ・ファイルをWaveSpectraでFFT解析表示したものをすこし示します。

<高調波ノイズ特性:サイン波 1kHz>
AU5500-1kHz-sine.jpg

サイン波1KHzでは、2次高調波、3次高調波、4次高調波がそれなりに出ていますが、相対レベルも低い倍音成分なのでそれほど音質には影響ないと思います。基本波の倍数に無いノイズ成分は-103dB以下と、非高調波成分で固有のものがでていませんので、わりと素直なサウンドの要因になっていると思います。

<残留ノイズ>
AU5500-noiiselevel.jpg

残留ノイズは、本来、入力ショートで測定すべきですが、リファレンスのHDDデジタルプレーヤで、デジタルゼロ再生したものです。つまり、HDDプレーヤのアナログセクションの残留ノイズも含んでいます。

測定条件・方法が異なるので、データシートの公称スペックとはすこし違っていますが、実用レベルとしては十分ではないでしょうか。

追記(2019/1/3)
一般ユーザーでは、数W程度のパワーレベル、ボリュームをかなり絞った状態での音楽再生です。このとき、信号源インピーダンスは大きくなり、アンプ初段で歪率は大きくなってしまいます。実際の入力ソースを接続して、実用パワー域での計測のほうが、その状況を反映できて音質評価にはいいのではないかと思います。実際に利用しないフルパワーで測定したデータはあまり意味がありませんね。

このアンプは想像以上に音がいいので、そのサウンドの秘密をちょっと考えていました。
サンスイAU-5500は、DCアンプなど物理特性を重視したアンプが流行する以前のオーソドックスでシンプルなアンプ設計(トーンコントロール回路が完全パスでき、ボリューム付きパワーアンプの構成。シングルプッシュプル)で、最大出力や再生周波数帯域もまったく欲張っていません。むしろ狭帯域アンプといってもいいかもしれません。例えば、広帯域アンプとして無理に過渡応答を上げていくと、不要な高調波成分を多数含んでしまい、妙なうるささや硬さがでてしまったりするケースがあります。
このアンプはその正反対で、高調波の減衰特性をみてもわかるとおり、可聴帯域の無理しない動作領域で音をゆったり出している感じですので、音楽ソースを楽しく再生できているのだと思います。
posted by toons at 06:35| Comment(0) | サウンド

2018年12月19日

Nakamichi ”High-Com II” ピークレベルメータ・ランプ修理しました!

high-com2-orange.jpg

Nakamichi ”High-Com II” は、カセットテープ時代に発売されたノイズリダクション機器です。

(写真:上がNakamichi High-Com II、下がNakamichi 660ZX テープデッキ)

1970-80年代、Dolby、ADRES、ANRSなど様々なテープノイズ削減のためのシステムがありましたが、”High-Com”はそのなかの一方式です。独・テレフンケンが開発した技術で、ナカミチがライセンスを受け、周波数帯域を2分割して製品化したものです。デッドストック品を格安で手に入れて一時期よく使っていました。

カセットテープで録音することもなくなりましたので、現在はすこし改造して機器実験用プリアンプとして時折使っています。ピークレベルメータがついていますので、信号レベル合わせにはとても便利です。アナログテストトーン生成機能(315Hz)もあり、単純なサウンドチェックにも利用できます。

lamp-original.jpg

実は、かなり以前にピークレベルメータのランプが切れて、そのままになっていました。

交換部品がなかなか見当たらず困っていましたが、交換できそうな「むぎ球(12V)」をマルツで見つけて買ってきました。

オリジナルは、オールドナカミチ独特のグリーンライト(660ZXと同じような色合い)でしたが、むぎ球を使うと電球色になってしまいました。いっそのこと、LED化してしまおうかと思いましたが、、、、

rakuyaki-marker.jpg

どうしたものかとネット検索していたところ、とても興味深いものを見つけました!

エポックケミカル「らくやきマーカー NRM-150」という陶芸・工芸用ペンです。

陶器、ガラスや金属に直接塗って、オーブンで焼き付けることが可能な釉薬インクをつかったペンです。様々なカラーがあるようで、ちょうどグリーンがありましたので調達しました。

lamp-painiting.jpg

lamp-green-1.jpg

lamp-green-2.jpg

本来はオーブンで焼き付ける必要があるのですが、むぎ球の発熱で十分焼き付け効果が得られているようです。少々こすっても剥がれることはありませんでした。

顔料系のインクのようなので、透過光がすこし弱くなってしまいましたが、落ち着いた雰囲気のあるグリーンライトのピークレベルメータになりました。

Nakamichi 製品同士のデザインバランスもようやくとれました。

nakamichi-green.jpg
posted by toons at 23:54| Comment(0) | サウンド

2018年12月18日

LXA-OT3 バージョンアップ Ver2.0

LXA-OT3-ver2.jpg

デジタルアンプ LXA-OT3のバージョンアップしました。

(以前のLXA-OT3改造記事はこちら)

このアンプは、サンスイ AU-5500の修理期間中に代替機として貸し出していました。

今月はじめに、このアンプが手元に戻ってきたので、すこしだけ改造することにしました。

といっても、メイン電源部のデカップリングコンデンサ(東信UTSJ)と並列に小容量フィルムコンデンサを接続するだけなのですが、、、

ECHU-01uF.jpg

今回採用したフィルムコンデンサは、Panasonic製 ECHU 積層メタライズドPPSフィルムコンデンサ 0.1uF 16V(ECHU1C104JX5)です。このシリーズは表面実装タイプしかないので、半田付けはかなり厄介です。

PPS(ポリフェニレンサルファイド)というフィルム素材は、静電容量が温度変化の影響をほとんど受けず、低周波から超高周波まで周波数特性がとても優れています。

このECHUコンデンサは1ミクロン程度のPPS極薄フィルムを最高1,500層積層した構造だそうです。巷では、同じくPanasonic製ECPUコンデンサとともに超高音質ということで評判が高い製品です。

以前、別の自作で使った部品の残りがありましたので、このデジタルアンプに試してみようと思いました。

ECHU-LXA-OT3.jpg

このチップコンデンサは割とサイズが大きいのですが、基板裏面の電解コンデンサの端子間になんとか実装できました。(デジタル、アナログ電源の計3箇所)

カップリングコンデンサにも裏打ちしたかったのですが、こちらはピン間距離が短すぎて断念しました。リード線でもつけないと無理っぽいですね。

半田付けでフィルムコンデンサには熱ストレスがかかっているので、しばらくエージング(蒸着電極の自己修復)してからでないと本領は発揮できないと思います。たぶん数十時間はかかるでしょうね。

lxa-ot3-v2-top.jpg

とりあえず通電して聴いてみたところ、この改造によってノイズフロアが下がったためでしょうか、奥行き感がよくでて、ざらつき感のないスムーズなサウンドになりました。人の声も自然な感じで聴きやすいです。

この年の瀬、LXA-OT3(ver 2.0)アンプが徐々にサウンドを変化していくのを楽しみながら過ごせそうです。


posted by toons at 23:54| Comment(0) | サウンド

2018年12月17日

壁コンセントの交換 - JIMBO「JEC-BN-55G PW」

outlets-1.jpg

壁コンセントをJIMBO「JEC-BN-55G PW」に交換しました!

ちょうど壁クロスを張り替える機会がありましたので、それに便乗して交換することにしました。

我が家のオーディオシステムでは3Pコンセントが必要なので、これまでホスピタルグレードのパナソニック「WN1318K」を使用していました。

(左がJIMBO「JEC-BN-55G-PW」、右がPanasonic「WN1318K」です。)

outlets-2.jpg

今回交換した神保電器(JIMBO)の「JEC-BN-55G PW」は、無酸素銅の電極をつかった3Pコンセントです。無メッキ・無酸素銅でのコンセント製品はほかになさそうなので、これを見つけてよかったと思います。

コンセント交換をして、まず一聴したところ、とても鮮度が高くて明快な音に感じました。しばらく通電してみると、さらに低域の充実度も増したようで、電源のクオリティがかなりグレードアップした印象です。

この「JEC-BN-55G PW」は一般流通にはのらない住設用部材のため、入手ルート探しにすこし苦労しました。ネット通販で探すとプロ向け電材屋さんで、かなりの低価格で入手できました。「WN1318K」の価格の1/3くらい、ワンコイン程度です。

オーディオ用と謳われているコンセントには高価なものがたくさんありますが、これはその1/10〜1/50の価格で入手可能です。壁コンセント交換での電源グレードアップ・チャレンジには、とてもいい製品だと思います。

outlets-3.jpg

一方、パナソニック「WN1318K」は医療用コンセントだけに、リン青銅電極によるコンタクトはとてもタイトで、安定感がありました。その音はとくに派手さはなく、ナチュラルなバランスの音でした。(この製品、ステンレスの板バネが入っているということで、音質にも影響がでるとの噂もあります。現行製品ではJIS1021医療規格の改定に伴ってメッキ処理電極に仕様変更されていますので、一般製品「WN1512K」がおすすめみたいですね。)

2つのコンセントで、厚みや構造にかなりの違いがありましたので、その重量を測ってみました。「JEC-BN-55G PW」が84g、「WN1318K」が121gと、約1.5倍もの重量差がありました。「WN1318K」は医療用ということもあり、とても強力なコンタクトを支えるために堅固につくられているようです。

なお、埋め込みコンセントを交換する場合、電気工事士の資格が必要ですので、ご注意ください。
posted by toons at 08:32| Comment(0) | サウンド

2018年11月30日

サンスイ AU-5500 レストア(12)修復完了!

au5500-restore-finished-1.jpg

サンスイ AU-5500 インテグレーテッドアンプの修理が完了しました。

AU-5500から再生されるサウンドは、43年前に製造されたアンプとは思えないレベルになりました。

サウンドチューニングの結果、十分な解像度と再生周波数レンジをキープしながら、かなり濃いサウンドを鳴らしてくれています。1950-60年代のジャズなどとても臨場感のあるサウンドです。

au5500-restore-finished-2.jpg

フロントパネルはとても綺麗になりましたが、リアパネルはサビが浮いたりしていて、さすがに年季を感じさせられます。

また、最終組上げ後にサウンドチェックをしていたところ、ミューティング(-20dB)動作時の音質が曇った感じに聴こえたため、カーボン抵抗から金属皮膜抵抗に部品交換しておきました。小音量時でもかなりクリアになりました。

今回の修理で交換した部品はつぎの写真のとおりです。部品総数は64個にもなりました。半世紀近い歳月で劣化した部品が多く、致命的な故障を発生する寸前のタイミングでした。

au5500-replaced-parts-all.jpg

スイッチやボリュームもすべて交換したかったのですが、いまや互換部品も無いため、超音波洗浄や接点復活などの延命措置のみになりました。

今後、ふたたびスイッチやボリュームの接触不良が発生する可能性はありますが、部品自体が老朽化していますので仕方ないと思います。その際には、接点洗浄などを再度おこなうしかないでしょうね。

au5500-rebuld-4.jpg

かなり長期間手元において修復作業をしていたせいで、このAU-5500にはすっかり愛着が湧いてしまいました。手放すのに一抹の寂しさを感じますが、オーナーも首を長くしてお待ちなので、、、

今週末に、AU-5500をお届けする予定です。長らくお待たせしました!

修理期間中、自作デジタルアンプを貸出ししていたので、すっかり現代アンプのサウンドに慣れられてしまったとは思います。生まれ変わったAU-5500のサウンドがお気に召すかどうか、、、

ふたたびオーナーの元で、AU-5500が末長く元気に音楽を奏でてくれるのを願っています。

posted by toons at 00:24| Comment(0) | サウンド