
まずは下部キャビと合わせた時の250Hzピークを調整します。といってもダクト途中に吸音材を少し入れるだけです。
手元にちゃんとした吸音材がなかったので、水槽の上部フィルタ(ウールマット)で代用。素材はおそらくポリプロピレン、厚みは8mmです。入れる箇所は最初の折り返し部分に適当なサイズにハサミで切りダクト入り口から落とし込み定規で押し込むだけです。
特性の比較だけになります。
"Audio Frequency Analyzer"での測定結果はつぎのとおり(吸音材なし=上グラフ、吸音材あり=下グラフ)。

やはり吸音材を入れたほうは250Hzが2dB程度下がっています。吸音材の量を増やせばもっと低下するはず。
しかし、音道を塞いでしまう恐れがあるのでこの1枚だけにしておきます。
ようやく試聴に取り掛かります。
いつもは手持ちの中から気が向いたCDを鳴らしながら試聴するのですが、各方式の違いでどう変わるのかを聞き取らないといけません。
ステレオ誌2011年1月付録のサンプルCDを使わせていただきました。大井川鉄道の蒸気機関車の生録音を再生チェックによく利用しています。
今回は、特に低域方向の違いを聞きたいので、この中からクラシックとジャズを選びました。
12. サン=サーンス 交響曲第3番「オルガン付き」
13. コールマン バード・フード/トライソニーク
左右間隔は約1m、約2m離れ試聴。密閉、両バスレフは TAOCスタンドにて、音響迷路のみ下部キャビに載せて行ってます。


密閉方式はデスクトップで使うことを想定して板でダクトを塞ぐ形に、バスレフ(上向)はダクトが空くよう板をずらしています。
それぞれの方式の感じとしては、、、
・密閉:

ティンパニーの打音軽く、オルガンの音階下がる部分が聞き取りづらい。ベースの音程は聞き取れるも、弦が指板に当たるカツン音の方が大きく感じられる。
・バスレフ(上向):

ティンパニーの打音はそれなりに聴こえる。オルガン音階もあまり分解できていないよう。指板にあたるカツン音もまだ響く感じがする。
・バスレフ(下向):

ティンパニーの打音も目立ってきて、トゥッティの迫力もそれなりの雰囲気に。ウッドベースの量感が感じられる。
・音響迷路:

オーケストラのスケールが一回り大きくなったように聴こえる。オルガンの音程もそれなりに聞き取れる。ベースの迫力が出ててきた。
これだけだと単に主観的な感想になるので、各曲の周波数特性を測ってみました。
左チャネルのみとし試聴位置(1.8m, これでスピーカに対し約15°)にスマホを設置し、曲をかけてホールド特性をみます。
その前に楽曲自体の特性を
"Music Frequency Analyzer"で調べてみました。
このアプリはリッピングした楽曲データをデジタル解析できます。つぎの結果は楽曲全体の周波数特性(ピークホールド)を解析表示したものです。

「オルガン付き」は全域きれいになだらかです。

「バード・フード」は 63-250Hzのレベルが結構高く録音されてます。
この特性がスピーカーでうまく再現できれば原音再生になるのでしょうか、疑問ではありますが。
「オルガン付き」の実機計測は、上から密閉、バスレフ(上向)、バスレフ(下向)、音響迷路の順です。

# 20Hz,31.5Hzは自動車などの外部騒音なので無視ください。
# 見やすくするために、80Hzと100Hzの間にラインを後から引いています。
密閉でも125-200Hzがそれなりのレベルがありますが、バスレフ(上向)になると同帯域が強調されているようです。
バスレフ(下向)にすると 160、200Hzが若干下がり 100、125Hzにエネルギーが移動しています。
音響迷路だと100Hzがさらに上がり、80Hzが6dB上昇しました。
「バード・フード」でも傾向は同じようです。

バスレフ(上向)の160、200Hzはかなり突出してますね。
音響迷路方式は63Hzくらいまで効果を期待していたのですが、特性を見る限りあと一歩というところです。
上下合わせたシステムサイズからすると、もう少し頑張って欲しかったところです。さらに音道を延ばすか、ダブルバスレフ方式に切り替えるか。
今回は低域方向の特性が方式によってどう変化するかに注目して試聴、計測しました。
デスクトップ設置として考えるとそんなにバリバリ低音強調する必要もないでしょう。密閉やバスレフでも充分な再生能力がこのユニットにあるのがわかりました。
後は、好みや楽曲によって上下ひっくり返すとかダクト塞ぐとかすればいいかと思います。本格的に聴く時には下部キャビネットに載せてという使い方になるでしょうか。ちょっと面倒臭いですかね。
.s